長崎県事業引継ぎ支援センター

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事例紹介

歴史と思い出の詰まったホテルを残したい
〜室戸を愛する夫妻が地元活性化を目指し、引継ぐ〜

高知県室戸市「岬観光ホテル」
高知県室戸市「岬観光ホテル」

高知県・室戸岬に仔む「岬観光ホテル」は、築80年以上経つレトロな建物。
昔からのファンも多いが、支配人もすでに 80代。ホテルを所有する大阪の会社の依頼を受けた古川清幸税理士が高知県事業引継ぎ支援センターに相談。
センターの紹介で四国銀行が仲介し、M&Aで地元の千頭夫妻に引継がれた。
夫妻は多くの人の思い出が詰まったホテル を地元観光の足場にし、室戸の魅力を広めたいとアイディアを練る。

窓からは雄大な太平洋。暴風雨にも耐え、80年

高知県室戸市。海から太陽が昇り、 海に沈む街だ。
「岬観光ホテル」は雄大な太平洋を臨む室戸岬に佇む1軒宿。1933年に資産家の別荘として建てられ、その後、持ち主が変わって旅館となった。1973年に大阪の酒造会社が購入。その間50年以上、吉本久栄さんが仲居そして支配人として住み込み、数名の従業員と切り盛りしてきた。
赤い絨毯とシャンデリアがレトロな雰囲気のロビー、11室の和室はすべてつくりが違う。
常連客も多く、「女将、元気か」と訪れる。
しかし、吉本さんも80代、従業員も高齢化し最近では3室だけの運営に…。
行く末を案じたホテルの所有会社のオーナーが京都在住の古川清幸税理士に相談。古川さんは何度も現地を訪れ、窓から臨む雄大な景色や暴風雨に耐えてきた建物、そしてホテルを守り続けてきた吉本さんの想いと努力に心を打たれた。
建物は国定公園内にあり、取り壊してしまえば再建の途はない。
「建物と雇用を守り、地元経済にも資する方法はないだろうか」。
古川さんは第三者への売却も視野に入れ、経営状態等を精査して概要書を作成。
関西周辺で買い手を探したが、成約には至らなかった。関西から室戸岬は遠すぎた。

仲居・支配人として、50年以上もホテルを守り続けた吉本氏
仲居・支配人として、50年以上もホテルを守り続けた吉本氏
ホテルの所有会社オー ナーの相談を受け、事業引継ぎに向け て奔走した古川税理士
オーナーの相談を受け、事業引継ぎに向け奔走した古川税理士
支援センターの紹介で、四国銀行が乗り出す

高知県室戸市。海から太陽が昇り、 海に沈む街だ。
「岬観光ホテル」は雄大な太平洋を臨む室戸岬に佇む1軒宿。1933年に資産家の別荘として建てられ、その後、持ち主が変わって旅館となった。1973年に大阪の酒造会社が購入。その間50年以上、吉本久栄さんが仲居そして支配人として住み込み、数名の従業員と切り盛りしてきた。
赤い絨毯とシャンデリアがレトロな雰囲気のロビー、11室の和室はすべてつくりが違う。
常連客も多く、「女将、元気か」と訪れる。
しかし、吉本さんも80代、従業員も高齢化し最近では3室だけの運営に…。
行く末を案じたホテルの所有会社のオーナーが京都在住の古川清幸税理士に相談。古川さんは何度も現地を訪れ、窓から臨む雄大な景色や暴風雨に耐えてきた建物、そしてホテルを守り続けてきた吉本さんの想いと努力に心を打たれた。
建物は国定公園内にあり、取り壊してしまえば再建の途はない。
「建物と雇用を守り、地元経済にも資する方法はないだろうか」。
古川さんは第三者への売却も視野に入れ、経営状態等を精査して概要書を作成。
関西周辺で買い手を探したが、成約には至らなかった。関西から室戸岬は遠すぎた。

レトロな雰囲気が歴史を語る、ホテルのロビー
レトロな雰囲気が歴史を語る、ホテルのロビー
数多くのM&Aを手がける四国銀行の上野氏
数多くのM&Aを手がける四国銀行の上野氏
旅館事業を分社化し、M&Aで株式譲渡

オーナーも四国銀行に仲介を依頼することに同意。古川税理士と同行法人サポート部が最適なスキームを検討した結果、旅館業を切り離して新会社を設立し、その株式を譲渡するM&Aで進めることになった。理由は2つ。ひとつは事業譲渡より手続きがスムー ズで、物件価値もクリアになること。もうひとつは、買い手が旅館業を継続する際、届け出で済むことだ。
物件概要書や譲渡条件も固まったことから、室戸支店から本部に情報が上がっていた有力な譲受希望者に打診。室戸市内で「タイヤショップちかみ」を営む千頭(ちかみ)善孝さんである。千頭さんの人柄や事業センスは同行でも高く評価していたうえに、日頃から「地元 の活性化には県外の人に室戸に宿泊してもらい、地元にお金を落としてもらうこと。それには宿泊施設が必要だ」と周囲に話し、自らも宿泊事業に関心を示していた。
購入意欲を示した千頭さんと秘密保持契約を結び、オーナーの代理人の古川税理士との面談をセット。初対面ながら「岬観光ホテルを残し、地元の活性化に役立てたい」という想いで一致した。
ここまで約3カ月。難易度の高い案件としては異例のスピードだ。
その後、敷地を巡る関係者との調整に時間を要したが、最初の相談から1年1カ月後の2016年7月中旬、千頭さんが新会社「岬観光ホテル」の株式を100%取得して、M&Aが完了した。
この間、売り手側には四国銀行法人サポート部が、買い手側には室戸支店の担当者である高村英治さんが伴走する形で緊密に連携を取りながら進めていった。関係者の熱意に加え、本部と支店の連携プレーがこの事例の特徴であり、成功要因のひとつだ。

事業を引継いだ千頭夫妻には、室戸を活性化させたいという強い想いがあった
事業を引継いだ千頭夫妻には、室戸を活性化させたいという強い想いがあった
お客様の声を聞き、新たな展開も模索

千頭夫妻にとってホテル経営は初めて。支配人の吉本さんらから旅館業を学びながら、様々なアイディアや企画を練っている。国定公園内なので増築はできない。そこで当初は部屋数を削って全室バストイレ付きに改修するつもりだった。しかし、レトロな雰囲気や大浴場を望む声が思いのほか多く、 改修を思いとどまった。奥さんの利智さんも「お客様から心に響く思い出話を色々うかがい、ここの宝は雄大な景色と皆さんの思い出の積み重ねなのだと気づきました」と語る。
そこで、まず11室全部を稼働させ、1年間事業を回した後、次の方針や展開を決めることに…。千頭さんが考えているのは、訪れた人が喜んで地元にお金を落とす仕組みづくり。元々ホテルを購入した目的も地元の活性化だった。
かつては遠洋漁業の基地として繁栄した室戸だが、水産業の衰退で、ピーク時に3万2,000人を超えた人口が、今では1万4,000人強。「このままではどんな商売も成り立たなくなる。室戸沖で獲れる日本一 旨い魚や雄大な景色を活かして県外の人を呼ぶ仕組みをつくりたい」と、宿泊客に地元の料亭で豪快な皿鉢料理を味わってもらうプランを練っている。また、奥さんの利智さんは室戸ジオ・パークのボランティアガイド。
こうした活動の拠点としての活用も検討中だ。
「今はアイディアを事業化するため、情報収集やネットワ ー クづくりをしているところです」。千頭夫妻の挑戦は始まったばかり。
何年か後には、ここを足場にさまざまな事業や活動が広がっているかもしれない。
支配人の吉本さんも「いい方に 引継いでもらって肩の荷がおりました。ホテルの灯を絶やさずに守ってきたことが、少しでも皆さんのお役に立てたかと思うと嬉しい」と柔らかな笑顔で語る。
京都と室戸岬を何十回となく往復し、吉本さんに寄り添ってきた税理士の古川さんも同じ想いだ。

左から高知県事業引継ぎ支援センター 山本氏、 千頭夫妻、 四国銀行室戸支店の高村氏
左から高知県事業引継ぎ支援センター 山本氏、 千頭夫妻、 四国銀行室戸支店の高村氏
事業承継&人材確保。県がセットで後押し

高知県の高齢化は全国より10年先行している。経営者の平均年齢も60歳を超え、後継者不在の企業が半数以上。さらに休廃業・解散件数が倒産件数の4.74倍に達しており、全国平均の2.81倍を大きく上回っている(2015年調べ)。
「ここから読み取れることは、事業承継を諦めている経営者が多いという実態です」と事業引継ぎ支援センターの山本さん。
事態を重くみた高知県は、国の事業である事業引継ぎ支援センターと県の人材確保事業の機能を合わせて「高知県事業承継・人材確保センタ ー 」を開設。金融機関OBやM&A専門会社 等の派遣者を含め、実務に精適した総勢17人を擁する国内最大級のサポー ト体制を整えた。事業承継を推進する補助金制度も設けている。事業を次世代につなぎ、中核的人材も確保するというダブルサー ト体制で県内企業の持続的成長を後押しする。
同センタ ーが開設された2015年4月から2016年12月末までに、251件の事業承継の相談があったが、「これは氷山の一角。まだまだこれからです」と山本さん。
高知県といえば、「いごっそう」で知られるお国柄。頑固で気骨がある男が多い。反面、他人に相談することをよしとしない経営者を相手に、山本さんたち支援センターの奮闘は続く。

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高知県事業引継ぎ支援センター統括責任者 山本 正孝 氏

本案件は、古川先生と四国銀行の担当者の密接な連携と熱意、さらに千頭夫妻の地元への強い想いが合致して実現した。しかし、相談する前に諦めておられる事業者も多い。広報活動やセミナーを通じてセンターの知名度を高め、気軽に相談やエントリーをしてもらえる環境づくりを進めたい。登録民間支援機関や士業の方々との連携も重要なポイントだ。 今後の展開として、士業法人との連携による小規模マッチングの仕組みを構築したい。より多くの専門家に事業引継ぎ支援事業に参画してもらうため、士業向け研修なども実施していく。

四国銀行法人サポート部 法人取引推進グループ

四国銀行法人サポート部 法人取引推進グループ

事業承継やM&Aは地場産業や雇用を守る有効な方法であり、地方創生に資する点で地方銀行の重要な使命。事業承継等に伴う展開の中にビジネスチャンスもある。さらに経営の根幹に触れるため、お客様を深く理解して強い信頼関係が構築できる。課題は、事業者様や行内にそうした理解を浸透させることであり、重要なのは「すべての企業や事業主に事業承継の問題が内在している」という気づきである。そうした気づきが情報発掘や提案につながる。幅広くM&A等を推進するには、地道な啓蒙活動や専門家の育成も不可欠だ。

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